夏の電力ピーク、求められる具体策(日経Web)の写し [東日本大震災]
住環境計画研究所所長 中上英俊
2011/4/4 7:00の記事です。
未曽有の天災に見舞われ、エネルギー供給システムもかつて無い状況に対峙することになった。関係者の方々の身を挺(てい)した復旧作業が続いている。ただただ敬意を表するのみであり、一日も早い復帰を望みたい。
中でも東京電力の福島第1原子力発電所の置かれた状況はまさに想像をはるかに超えた事態である。この影響により東京電力の電力供給能力は大幅に制約を受け、計画停電(輪番停電)により需給の調整を図っている。
東京電力の管内では、例年の冬の需要のピークが夕方から夜にかけての午後6時~7時に出現し、おおむね4200万~4300万キロワットである。これに対し、現在の電力供給能力は3700万キロワット程度とされているから、とても間に合わないことになる。従って停電を避けるために、輪番停電が実施されているわけだ。一般消費者を含むすべての需要家の協力により、幸い目下のところは首都大停電のような事態は免れている。
最も大きかったのは暖房用エアコン、次いで照明だった。常々、業務部門ではまだまだ省エネルギーの余地があると指摘もし、調査も行ってきたが、こうして実際のデータをとってみると改めて業務部門における省エネの可能性を実感した。
さて、問題はこれから迎える夏である。冬の暖房はまだ着衣の調整でしのげるが、夏はなかなかそうはいかない。年間でみると、家庭用では暖房と冷房では暖房のエネルギー消費の方が圧倒的に多いが、業務部門ではこの関係が逆で、夏の冷房用のエネルギー消費の方が冬の暖房用エネルギー消費より多い。従って、冬の今は夕方が電力のピークだが、夏場は午後2時~3時がピークになる訳だ。
電力はガスや石油のようにためることができないので、このピークをいかに抑えるかが問題だ。例年の夏のピーク電力需要はおおよそ6000万キロワットといわれている。夏にかけて火力発電所等のフル稼働などで発電能力を増強しても、5000万キロワット程度といわれているから、きわめて厳しい状況におかれることは間違いない。現状の2倍程度の供給不足が想定されることになる。これによる停電を回避するには、今以上の節電、省電力が求められることになる。
対応にはこのピークばかりが着目されるが、実は終日消費されている電力の中にも、十分に節減可能なものが含まれているはずだ。
冬の省電力行動が夏にも大いに効果を果たす可能性を示唆している。とするならば、今すぐにでも、今回の緊急避難的なすべての需要家の節電行動とその効果を検証し、問題点と課題を抽出し、夏に向けて早急にアクションプランを示すことが求められる。
このデータがすべてとはいいませんが、まだまだ、節電できるのではと期待を抱きたくなる記事です。当社も3/11以来、暖房のスイッチは、切ったままです。新しい節電の考え方で、何とか、暑い夏を乗り切りたい。