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高層ビル「長周期地震動」に弱く 共振で揺れ増幅(日経Web)の写し [東日本大震災]

4メートル幅で10分揺れる恐れも

2011/5/7 20:01の記事です。

3月11日午後2時46分ごろ、耐震構造を研究している工学院大学の久田嘉章教授は新宿校舎(東京・新宿)の25階で緊急地震速報を聞いた。がたがたと細かい揺れの後、船に乗っているようなゆっくりとした大きな揺れ感じた。「長周期地震動」だった。

 その後の調査で、29階の屋上部は37センチメートル動き、揺れは10分以上続いたことがわかった。新宿校舎では、天井板が落下し、固定していなかった本棚が倒れ、コピー機が動いた。エレベーターのケーブルが引っかかって使用不能になった。

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 東日本大震災は超高層ビルを大きく揺らした。都心では、消火用のスプリンクラーが壊れて水が漏れたり、エレベーターに閉じ込められたりする被害が相次いだ。東京タワーの先端が曲がった。

 東京湾岸の石油コンビナートでは油が入った施設が揺れ、摩擦熱で火災が起きたという。震源から遠く離れた大阪府の咲洲庁舎(大阪市、55階建て)でも被害が出た。

 久田教授が新宿の高層ビルを調べた。構造への大きな損傷は今のところ見つかっていない。新宿を代表する超高層ビルのひとつ新宿センタービル(54階建て)は上層階で1メートルを超える横揺れが続いたが、大きな被害は出なかった。久田教授は「地震の規模の割に揺れが小さかったことが幸いした」と分析する。

 被害をもたらした長周期地震動は、2秒以上の周期でゆっくりと揺れる。2003年の十勝沖地震(マグニチュード8.0)では、震源から約250キロメートル離れた北海道苫小牧市の石油コンビナートで火災が発生。長周期地震動への関心が高まった。

 建造物には揺れやすい「固有周期」があり超高層ビルや石油タンクなどは周期が長い。地震の波が固有周期と一致すると、共振して揺れが大きくなる。東日本大震災では、阪神大震災のような直下型地震に比べて2~20秒の揺れが大きかった。周期が長くなるほど、波が遠くに伝わりやすい。京都大学の入倉孝次郎名誉教授は「広い地域で、様々な高さの建物が揺れた」と分析する。

 長周期地震動はマグニチュードが大きくなるほど発生しやすい。東京、名古屋、大阪の大都市圏はみな厚い堆積層の上にある。長周期の波が伝わると、堆積層内で行ったり来たりして揺れが大きくなり、持続時間も長くなる。

 入倉名誉教授は「高層ビル群が年々増え、対策に迫られている」と指摘する。関係者の間で最も心配されているのが、近い将来起きるとされる東海、東南海、南海地震の3つの巨大地震が連動した場合だ。工学院大の久田教授は「高層部分の揺れの幅は東日本大震災の2倍を超え、揺れが続く時間もずっと長い」とみる。

 日本建築学会によると、大きい場合は関東平野と大阪平野、濃尾平野の揺れは設計時より2倍近く増えるという。中には、4メートル幅で10分くらい揺れるビルもあると予想している。

 倒壊の恐れはほとんどないものの、梁(はり)と柱のつなぎ目が破断するなどの被害が出る可能性がある。被災直後の応急危険度判定は点検箇所が膨大で技術者も不足しており、時間がかかる。安全が確認できるまで使用禁止になる可能性が高い。構造部分が損傷して傾いたビルは取り壊すしかない。

 既存のビルは制振装置を取り付けると被害をほぼ防げる。建築学会は、古いビルを耐震診断し、大規模修繕のときに制振装置を導入すると、工期や費用を節約できると勧めている。

 久田教授は「家具の転倒や天井板の落下を防止するのは簡単にできる」と強調する。超高層ビルで重傷者が出ると、最悪の場合は階段を使うことになり、地上まで運ぶのが大変だ。エレベーターのケーブルが揺れてひっかかることを防ぐ対策も急ぐべきと訴える。

 長周期地震動の影響を受けやすい高さ70~100メートル以上のビルは全国に約1100棟ある。東海、東南海、南海地震が起きる確率は30年以内に60~87%と推定されている。できることから対策を講じれば、最悪の事態は避けられるはずだ。


中越地震の時に、私は、霞が関ビル33階で、大学同窓会に出席していた。会が始まる前の17:57にまず、大きな横揺れとそれに伴う船酔い状態がしばらく続き、18:30、18:33にも同様の揺れと酔いが回った。お酒を飲むのも控えたいぐらいの酔いであった。高層ビルの怖さを思い知った瞬間でもあった。

 さて、余談ではあるが、今回の地震時に、熊本市内の水位計が本震及び余震で、数十センチメートル上昇していることが、わかった。これは、偶然とは思えず、地盤の伝播による影響が、離れたところでも発生するということである。誠に今回の地震の大きさを物語る事実である。


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