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求められる「東北復興院」の中身(日経Web)の写し [東日本大震災]

グローバルOutlook 編集委員・滝田洋一

2011/3/28 6:40の記事です。

地震、津波、原発事故、電力不足と複合的な危機が続いている。事態は予断を許さないが、被災地の復旧・復興も大きなテーマである。いま何が必要なのか、そして未来に向けた道筋をどう描くのか。時間軸を踏まえた構想力が問われている。

 今回の東日本大震災の特徴は、犠牲者の数が桁違いだったばかりでない。加えて、被災地域が南北500キロメートルにわたる広域震災であったことも見逃せない。しかも、従来の防災思想が根底から覆された。10メートル級の防潮堤も1000年に1度といわれる津波には無力だった。

 津波は町ごと全面的に破壊し、漁業、農業など地域の基幹産業を台無しにした。漁船、漁港、水産加工会社も壊滅し、働き手である多くの水産業従事者が犠牲になった。しかも被災地は過疎・人口減少地域が多く、もともと財政基盤が脆弱だった。

 いずれの条件も阪神大震災に比べて厳しい。何が必要か、関係当局も知恵を絞っているが、短期、中長期の対策を全体の時間軸を踏まえて打ち出すことが欠かせない。次のような整理が可能だろう。

 短期的には、被災者への物的支援、仮設住宅の建設、物流・電気・ガス・水道の回復が不可欠で、関係者が全力を尽くしている。その一方で、瓦礫(がれき)の山となった町については、単なる復旧ではなく、新しくつくり替える必要があろう。これは中長期的な復興の課題にもつながる。

 例えば、無秩序な住宅再建を防ぐとともに、後で土地争いが起きないよう地権者間の権利調整を円滑に進める仕組みが欠かせない。場合によっては、集落ごと他の場所に移り住むことを促すことも必要になろう。これらは被災した個々の市町村の手に余る仕事だ。

 家財道具を家ごと失った個人に対する経済的支援も充実する必要がある。自治体による裁量性が高く、複数の年度にまたがり活用が可能な「復興交付金・基金」は阪神大震災の際も役立った。今回はそれをもっと大規模にして創設することが考えられる。

 防災対策の根本的な見直しは避けて通れない。防波堤・防潮堤から、集住と高層化へと発想を変えるべきかもしれない。そうした動きを促進する税や補助金、金融などの仕組み作りも検討課題となる。色々な生活機能が近接した「コンパクトシティ(小回りの利く街)」も復興のモデルになりそうだ。

 広域にわたる自治体の間で復興に向けた合意を形成していくには、行政がバラバラに対応していてはダメだ。国、宮城、岩手、福島など関係各県、被災市町村による「復興のための広域委員会」を立ち上げる必要を指摘する向きが多い。一理ある提案だ。

 関東大震災後にならい、政府として被災地復興の司令塔の役割を果たす「復興院」をつくることも、政治の場で話題になりつつある。原発危機を収束させるのは差し迫った課題だが、地震と津波による打撃をどう克服するという仕事も待ったはない。

 復興に名を借りた無計画なバラマキは日本の財政への信頼を回復不可能なものとしかねない。東北復興に向けた先見性と構想力は、日本再生の試金石となる。


防災と環境をキーワードとした街づくりの再構築。口で言うことは、平易であるが・・・(検討中)


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